外国人居住者とトラブルを最小限にマンション管理組合ができること | アセタス

外国人居住者とトラブルを最小限にマンション管理組合ができること

川原一守
川原一守

外国人居住者においては、悪気がなくともモラルや習慣、発想が異なることによって問題が生じがちです。
マンション管理士が居住者に直接注意することはあまりありませんが、必要に応じ管理組合にアドバイスをすることはできます。

外国人居住者は2通りのタイプに大別できる

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ひとくちに外国人居住者と言っても、大別すると2通りのタイプに分けられます。

  • ホワイトカラーの外国人・・・堅実な企業に勤務しており、身元保証も明確な人たちです。
  • 繁華街で働く外国人・・・夜のご商売をしている人などです。

前者は、外国の風習と日本のやり方との違いを説明すれば、おおむね理解してもらえるケースが多いようです。環境的にも、同じ会社の上司や同僚など、わからないことがあれば理解を促す日本人に囲まれていることが多いのです。
ところが後者では、たとえ英語で掲示文を出しても、なかなかご理解いただけないケースが多くありました。

ただしこの分類は、職業差別をする意図であげたのではなく、これまでの私のマンション管理士としての経験上、あくまで便宜的に分類したものです。それぞれに例外はあるので一概には言えないことを、くれぐれもお断りしておきます。要は、管理組合として、外国人居住者だからといって一括りに考えては対応の方法を誤る場合があるということを、お伝えしたいのです。

トラブル解決の基本はオーナー側から交渉してもらうこと

外国人居住者が問題を起こした場合、もしその部屋のオーナーが日本人であったり、日本人の仲介業者が介在する場合は、そちらから居住者に説明、説得していただくように働きかけるのが基本です。洋の東西を問わず、居住者同士だと直には言いにくいものですし、管理組合が直接居住者に注意をしたとしても、相手が理解してくれなければ解決には結びつかないためです。

管理会社と契約しているマンションであれば、基本的には組合は管理会社に相談して管理会社から注意してもらうことも多いでしょう。しかし管理会社も、契約内容にもよりますが、ほとんどの場合、何が何でも絶対に解決するまでの義務を負っているわけではありません。当事者をつかまえて強く注意するということではなく、とりあえず文書等で注意するパターンがほとんど。文書の差し入れ程度では、無視をされたり、解決に至らない可能性も十分あります。

マンション管理士は状況に応じて、解決の一番の近道と思われる方法を組合と一緒に考え、必要な助言をすることができます。

具体的なトラブル解決の事例

夜の繁華街で働く外国人居住者が、一つの部屋に何人も住んでいるケースがあります。部屋を仕切ってしまうと違法貸しルームのが問題になったように消防法、建築基準法上で問題なのですが、仕切ることなく一部屋に複数人が居住する分には違法性はありません。
こういった場合につきもののトラブルが、まず騒音。他の居住者が就寝している時間帯に出入りがあったりします。また、エレベーターにきつい香水等の匂いがこもっていて苦情が出たこともありました。
このケースで苦労したのは、地元の業者ではない不動産屋が仲介に入っており、年配のオーナー自身は遠い場所にいて、管理会社が電話をしてもあまり話ができない状況だったことです。
困り果てた末に思いついた作戦が、その外国人居住者たちが働くお店に話をすることでした。お店は、日本人が経営していたのです。そこでその方に一通り説明し、「このまま行くと管理組合としては裁判も辞さない」と話したところ、先方も、ちょっとここのマンションはうるさいし面倒くさいな、と思ったのでしょうか、転居して行ってしまいました。他のマンションに流れて、そのマンションが新たなトラブルの舞台となっているようであれば、これが本当に解決したケースといえるのかわかりませんが。

コミュニケーションのとれる人をつかまえる

もう一つのケースは、日本人の夫と中国人の妻のご夫妻が住む部屋で起きたこと。そのご家庭は、夫は朝早く出て夜帰るため、昼はマンションに奥さんとお子さんだけ、という状況でした。
ある時、何の風習か宗教か、はたまた趣味なのかはわかりませんが、部屋の前にお香を焚く石の台のような工作物を置き始めたのです。匂いもするし居住者も困るので、まず管理員が奥さんに話をしたのですが、その時は「わかりました」と返事するのですが、結局、是正はされません。もしかしたら、日本語がよくわからないふりをしていたのかもしれませんね。
解決策は、夫と話をしたこと。夫が出入りする時間をチェックして、夫がいる時間をねらって話をしに行ったわけです。一発で解決はしませんでしたが、徐々に是正されて行き、最終的には工作物をどけてもらうことに成功しました。

以上、具体例を2つあげましたが、いずれにせよコミュニケーションがとれて、ルールを守ろうという意識のある人をつかまえて話をすることが大事になってきます。

管理規約では特定の職業の人が居住することを禁止できないが・・・

それでは、そもそも外国人居住者、特に夜の繁華街で働く外国人を受け入れなければいいのではと思われるかもしれませんが、管理規約に外国人は住んではいけないとか、こういう職業の方はだめだとラインを引くことはできないのです。それは職業差別にもあたり、裁判で争えば公序良俗に反する規定として敗訴することでしょう。
ルールでつくれる範囲をいえば、せいぜい、不法滞在の人はだめ、というところでしょうか。また、店舗の用途であれば、たとえば風俗店は禁止するなど、ある程度は規制できます。しかし単純に外国人だからといって住んではいけない、という差別はできません。

一つ考えられる工夫としては、仲介の不動産屋などに、「この部屋を貸すときは、寮のような用途で貸さないでください」ということを周知しておく手はあります。「もし仲介なさっても、そういう場合はトラブルが起きがちで、組合もルール上かなり厳しくやっている。結局、そういう方がきても住みにくいのでやめたほうがいいですよ」というような話を日常的にしているマンションは、実際に存在します。

現在、外国人居住者とトラブルを抱えている方々へ

解決策の第一歩として、当事者に直接言うのではなく、いったん管理員なり管理会社に現状を報告し相談してみることです。困っているのであれば、それを知らせないと管理会社は正しい状況を把握できません。
それには、居住者側としてはできるだけ周りの人たちを巻き込むことをするといいでしょう。一人では、「この人はたまたまこういうことに敏感なだけだろう」と思われてしまいかねませんが、問題の部屋の上下階、同フロアに住む居住者がみな困っているとなれば、より管理会社を動かしやすくなるでしょう。

日本人は結構我慢してしまうところがありますが、言うべきことは言わなければ快適な生活をすることができません。また、管理会社が、居住者への注意なり何かアクションをとったら、その後の進捗状況についてしつこいぐらいに確認をすることが必要です。管理会社の習性として、クレームがないことは問題なし、と見られてしまうのです。確認作業を常に続けていくことで、居住者、管理組合、管理会社が適度な緊張感を持った関係を維持しながら、住みやすいマンションへと改善して行く方向に持って行くことができます。

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当コラムは執筆時の法律・判例に基づいております、参考にいただく際は最新の法律・判例を確認頂きますよう、お願い致します。また、平易な表現により、一部の例外・解釈等を簡略化している場合がございます。正確には個々のマンションの管理規約等、区分所有法等をご参照ください。
多くの管理組合様をサポートした経験から最適なご提案をいたします。
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