修繕積立金の相場や使い道、マンション資産価値を維持するポイント | アセタス

修繕積立金の相場や使い道、マンション資産価値を維持するポイント

重松秀士
重松秀士

修繕積立金は、マンションの資産価値を維持するための要です。
マンション管理士がいれば、管理組合はいつでも適確なアドバイスを受けることができます。

imasia_13351511_M

修繕積立金の使い途は?

修繕積立金の使途は、多くの場合管理規約で規定されています。
国土交通省が公表している「マンション標準管理規約」があります。あくまでもモデルケースですから、これに合わせる必要はないのですが、マンションが管理規約を定める際の指針にはなります。

単棟型の第28条を見ると、一定年数の経過後に計画的に行う修繕(いわゆる計画修繕)や、不測の事故その他特別な事由により必要となる修繕、それから、敷地および共用部分等の変更、建物の建て替えに関わる合意形成に必要な調査、その他、と書かれており、だいたいの使い途がわかります。どちらかと言えば、多額のお金が出る場合です。ちょっとしたお金で済む場合は、管理費会計の「日常小修繕」などの会計科目から支出するのが一般的です。

修繕積立金はいくらに設定すべき? 適切な相場感

相場感に関しては、マンションが持つ施設や築年数によっても違いますが、国土交通省が平成23年度に公表した「修繕積立金のガイドライン」によると、マンションの規模や階数によっていくつかに分類していますが、目安として専有部分の面積1平米あたり200円前後を分譲当時から積んでおく必要があるとされています。70平米であれば月額1万4千円程度です。

私たちマンション管理士がマンションの修繕積立金の妥当性等を診断する際、たとえば70平米や80平米といったファミリータイプのマンションで修繕積立金が月額5千円であれば、瞬間的に「足らないな」と思います。

なぜこんな金額を設定してしまうかと言うと、分譲業者の販売戦略によるところが大きいと思います。

マンション購入の際はたいていローンを組みます。ローンの支払い、管理費、そのほかに修繕積立金を毎月1万数千円、あるいは2万円必要ですと言うと、消費者の購入意欲が下がってしまいます。そのため、できるだけ最初は修繕積立金を安く設定し、1年目は5千円でも5年目は8千円、10年目は1万2千円…といったように、後から徐々に上げていくパターンが多いです。

もちろん購入時に説明はするのですが、最初はマンションを購入することばかりで頭がいっぱいで、あまり先のことまで真剣に聞いている購入者は多くありません。
または、途中で一時金を一世帯あたり50~100万円徴収するような計画も考えられますが、そうなると払える人と払えない人が出てきます。そのため、管理組合が金融機関から借り入れし、毎月返済していくという方法もあります。

資産価値を保つためのメンテナンスとは

ポイントは、共用部分を適切に維持管理していくことです。私たちマンション管理士が最初にマンションを訪問した時に見るのは、ゴミ置場、自転車置場、駐車場等です。これが整然と管理されているのか、だらしなく放置されているのか。それでそのマンションの管理のレベル、管理会社の取り組み姿勢がわかります。
何をもって資産価値というかは難しいですが、市場で取り引きされている価格は一つの目安になると思います。購入しようと思っても、売りが出ないのでなかなか値段が下がらない、そういうマンションは資産価値が高いといえます。要は、駅からの距離や築年数だけではなく、きちんと管理されて暮らしやすいマンションはなかなか売りが出ないため、値も高くなるわけです。管理がずさんであれば、物件に愛着もわかず、売りが多くなります。

住んでいる人の意識が高いマンションなら、たとえばエントランスにゴミが落ちていれば、居住者がちゃんと拾いますのでいつもきれいな状態に保たれています。逆に、掃除がきちんとされていなくても、注意をしたり、苦情を言ったりする人がいないと、マンションもすぐに汚くなくなります。マンションを購入しようと思う人が、そんなマンションを見たら最初から購買意欲は下がりますよね。

修繕を円滑に進めるための合意形成の方法 老朽化マンションはどうする?

管理費会計からの支出で済むような小規模な修繕は、理事会の判断で実施することが可能です。しかし、大型の改造工事や大規模修繕工事の場合は、総会の決議(承認)を経て実施することになりますので組合員の合意形成が重要になってきます。多くの管理組合は、総会への出席率はさほど高くなく、議長への委任状が多く集まりますので、通常の議案であれば簡単に可決することが多いのですが、多額の支出を伴う工事などは、事前に十分な説明をしておかないと否決されてしまうこともあります。

老朽化したマンションの資産価値を維持しようと思えば、適正な日常の管理に加えて、ある程度お金をかけて修繕をする必要があります。例えばエントランスを改造してオートロックにしたり、バリアフリー対策としてスロープを設置したりするなどがその例です。そのためにも、管理組合の合意形成が重要になります。

老朽化したマンションで大規模修繕や改造工事が必要であるにも関わらず、修繕積立金が不足している場合、マンション管理士としてアドバイスできることは比較的限られています。
組合員に負担を強いることになりますが、やはり適正な額まで修繕積立金を改定(値上)することをお勧めしています。また、修繕等を実施しなければならない状況下で、資金不足を生じているときには、金融機関からの借入れも検討の対象になります。

私がこれまでお手伝いしてきたマンションを振り返ってみると、規模が大きいマンションの方が、修繕積立金に余裕のあるケースが多いと感じます。これはやはりスケールメリットによるものと思います。逆に20~30戸といった小規模マンションでは、修繕積立金が不足しているマンションをよく見かけます。どうしても大規模マンションに比べて戸当たりの負担割合が大きくなるので、長期修繕計画を作成し、常に適正な修繕積立金の額を把握しておくことが肝要と思います。

それでも、小規模マンションにはそれなりの良い面もあります。組合員の数が少ないので合意形成がやりやすいとか、お互いの顔が分かっているので防犯や防災面でも協力体制が取りやすい等です。

最悪なケースとして、10~20世帯といった小規模マンションが積立金不足に陥ることがあげられます。大規模なマンションにはスケールメリットがあるので、お金が集まっています。400世帯のマンションでも20世帯のマンションでも、エントランスは1つ。一世帯あたりのコスト負担はぜんぜん違ってきます。
反面、小さなマンションの利点としては、まとまりやすいということがあります。何かあったときの合意形成がしやすいですし、防犯面でも不審者が入ってくればすぐわかるといった面はあります。

管理規約・使用細則の変更はASETUS(アセタス)にご相談ください

管理規約や使用細則を変更する場合は、その背景にマンション特有の課題や問題があるため、単に変更案を作成して総会に提案するだけで簡単に承認に至るものではなく、また、承認されたとしても、変更後のルールを円滑に機能させるのは難しいものです。
アセタスでは、背景にある課題や問題を把握・分析し、居住者・管理組合のことを考えた「管理規約・使用細則の変更案の作成」や「組合員に対する説明と総会決議までのサポート」などを通じて、マンション生活のクオリティの向上のお手伝いを行っております。是非ご相談ください。

当コラムは執筆時の法律・判例に基づいております、参考にいただく際は最新の法律・判例を確認頂きますよう、お願い致します。また、平易な表現により、一部の例外・解釈等を簡略化している場合がございます。正確には個々のマンションの管理規約等、区分所有法等をご参照ください。
多くの管理組合様をサポートした経験から最適なご提案をいたします。
メールのお問合わせはこちら
お電話でのお問合わせはこちら:03-6273-7666:土日休日対応
共有画像
このページのURLをメールで送る メールを送信する

メディア活動実績

新聞・雑誌・書籍50
テレビ・ラジオ5
セミナー・講演・会議等65