大規模修繕ができない!?修繕積立金の重要性を今一度見直しましょう | アセタス

大規模修繕ができない!?修繕積立金の重要性を今一度見直しましょう

親泊哲
親泊哲

大規模修繕の年に、初めて長期修繕計画の存在を目にする人もいるかもしれません。修繕積立金は段階的に増額する方法が多い一方で、実際に増額をする際の合意形成は簡単ではありません。適正な積立について、事例やマンション管理士の役割を交えて解説します。

修繕積立金が安いから「お得」ではない

修繕積立金とは、共用部分等について管理組合が行う計画的な修繕工事費に充当するための資金です。ここにいう修繕とは、実用上支障のない状態に戻すことを意味します

また、オートロックを新しく設置するなど、今風のマンションに近づけるグレードアップ工事に要する費用も修繕積立金で賄うことになります。マンションの購入時には、修繕積立金は低めに設定されていることが多く、必要な修繕資金が不足している物件も多くあります。
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修繕積立金の金額が適正であるか確認せずに購入している

建物としてのマンションを維持するためには、一定の周期で行う適時・適切な修繕が重要であり、その実施に備えて計画的に資金を積み立てなければなりません。しかしマンションの購入契約時には、得てしてローン計画や住環境のチェックに重きが置かれ、将来発生する計画修繕等に注意が向けられることは少ないでしょう。

それどころか、修繕積立金の積立額がより少ない方がおトクに感じてしまうことすらあるかもしれません。

マンションのような大きな建物の工事には、スケールに応じた多額の費用を要しますから、単純に修繕積立金が安価なことを判断基準にすることは感心できません。実際にも、十数年に一度の大規模修繕工事を前にして、資金が足りないことが分かり、積立金の引き上げや一時金を集めるといった議論が起こって初めて、計画的な積み立ての重要性を認識したという方もいるのではないでしょうか

修繕積立金が不足しているからと一時金を集めるのは困難

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修繕積立金は、長期修繕計画に基づいて設定されるのが基本です。

専門的に、この二つはリンクしたものと言えますが、分譲マンションの売買契約に際して長期修繕計画に関する説明が添えられるようになったのは、平成7年頃からです。
それより前は、単に管理費の10%程度の額を修繕積立金と設定するようなことが当たり前のように行われていましたが、これには何の根拠もありません。そもそも、物件によって造りや設備も異なることを考えれば、一律10%でよいはずがありませんが、時期的にもバブル経済があったりして不動産で潤っている人も多かったので、積立額が足りなくとも、そのときが来れば、組合員から簡単に一時金で50万円程度の資金は集められると考えられていた可能性もあります。しかし、全ての組合員から数十万円の一時金を集めることは難しいと考えるべきでしょう。

長期修繕計画の練り直しに管理組合は十分な説明ができない

管理会社の重要な役割として、長期修繕計画の素案作りのお手伝いをすることが挙げられます。
例えば築15年のマンションの修繕積立金の積立額としては、国のガイドラインに照らし合わせると、月1万円以上が合格ラインと言えますが、この金額を上回っている物件は決して多くないことでしょう。
こうした現状にあっても、管理会社側から修繕積立金の積立額の引き上げを示唆する適切な長期修繕計画が示されないケースが多いと推察しています。

一時金か増額か借り入れか決定権は組合員にあり

販売当初に設定された修繕積立金では、最初の大規模修繕工事に要する費用も不足してしまうケースもあります。しかし、計画修繕工事は、適時・適切に実施しなければなりません。

資金が不足している場合は、積立額の引き上げか、各組合員から修繕一時金を徴収して賄うことを検討することになります。一時金を集めようとした場合、基本的に総会で過半数の賛成を得ることでそれを決定することはできますが、実際に全ての組合員から期間内にお金を集めるのは難しいと考えるべきです。一時金の徴収と比較されがちなのが借り入れ資金の調達になりますが、返済原資が必要ですから、結果として積立金の増額を避けられないケースが多いことでしょう。修繕資金が不足する場合、管理組合の理事会では、これらのメリット・デメリットを検討し、その結論を総会に諮らなければなりません。

マンション管理士の役割

そんな状況をサポートするのが、マンション管理士の役割です。長期修繕計画案は、専門的な内容が多いため、専門的知識がなければ間違った解釈をしてしま可能性もあります。理事会メンバーが組合員管理会社の提案を正しく解釈できないことに起因して組合員へ説明してしまい、後に問題が生じないとも限りません。しかし、理事会メンバーとしても、それぞれ本業の仕事を持ち、貴重な時間を割いて理事会の運営に携わっています

そこで、長期修繕計画と修繕積立金の基本的な関係や、実施が予定される工事の必要性などをわかりやすく説明したり、他の選択肢の検討に関するアドバイスをマンション管理士が担うことになります。ここにおいて、マンション管理士は、理事会と管理会社の間に入り、両者の円滑なコミュニケーションの形成に資する通訳のような役割を果たしています。

特に最近修繕積立金に関してアドバイスをした具体例

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一つめとして、エレベーター設備の更新工事に対する考え方などが挙げられます。長期修繕計画上、25年~30年に1回とされているエレベーター設備の更新工事に要する費用について、全面的なリニューアルを前提とした金額が計上されているケースが多いと思われますが、現実には既存の設備を流用する部分的なリニューアルが多く行われており、この仕様の違いに起因した工事費の差が非常に大きいことで、多額の修繕積立金を積み立ててしまう原因になりかねません。そこで、予定されている工事仕様と概算工事費の見直しをアドバイスすることになります。

二つ目として、修繕計画とマンションを取り巻く環境の変化との関係が挙げられます。
例えば、駐車場使用料の一部を修繕積立金に繰り入れている物件の場合、高齢化や車離れの影響で、きわめて近い将来に計画的な積立ができなくなる可能性があるため、これに備える必要があることなどをアドバイスします。
また、現在、震災復興特需と2020年の東京オリンピック特需の影響で、全国的に工事関係者が不足し、工事費が高騰しています。不景気が続いた影響で職人さんが育っていない業界の事情もあり、この点でも工事費の高騰が予想されます。これがもたらす影響として、長期修繕計画に計上されていた工事費では、とても大規模修繕工事を実施できない可能性が考えられることなどをアドバイスすることになります。

求められるのは、組合員の理解・納得が得られる説明・・・

長期修繕計画は、だいたい5年に1回を目安に見直しが行われます。そのタイミングで修繕積立金の妥当性も検討されます。そして計画を見直した結果、とても修繕資金が足りず、積立金を増額するとなれば、反対意見が出ることも予想されます

また、不景気が続きましたが、もともと管理組合では景気にかかわらずマンションを良好に管理していかなければなりません。いろいろな意見がある中、修繕積立金の積立額を増額する場合には、様々な状況や事情を勘案してなお、増額が組合員にとって最良の選択に当たる(やむを得ないと判断できた)ことについて、理事会では、組合員の理解・納得が得られるように説明を尽くす必要があります。

管理規約・使用細則の変更はASETUS(アセタス)にご相談ください

管理規約や使用細則を変更する場合は、その背景にマンション特有の課題や問題があるため、単に変更案を作成して総会に提案するだけで簡単に承認に至るものではなく、また、承認されたとしても、変更後のルールを円滑に機能させるのは難しいものです。
アセタスでは、背景にある課題や問題を把握・分析し、居住者・管理組合のことを考えた「管理規約・使用細則の変更案の作成」や「組合員に対する説明と総会決議までのサポート」などを通じて、マンション生活のクオリティの向上のお手伝いを行っております。是非ご相談ください。

当コラムは執筆時の法律・判例に基づいております、参考にいただく際は最新の法律・判例を確認頂きますよう、お願い致します。また、平易な表現により、一部の例外・解釈等を簡略化している場合がございます。正確には個々のマンションの管理規約等、区分所有法等をご参照ください。
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