高齢化社会におけるマンション問題【役員の高齢化・バリアフリー化】 | アセタス

高齢化社会におけるマンション問題【役員の高齢化・バリアフリー化】

瀬下義浩
瀬下義浩

高齢化がますます進み、社会問題になる中、マンションにおける問題点も数多く存在します。
マンション管理士の視点から、高齢化社会の対策を考えていきます。

高齢化社会に伴い、現存する問題点

マンションの住民やマンションを管理する役員が高齢化してきている点が、まず1番わかりやすい問題点です。組合の役員が全員ご年配の方だったり、なり手がいなかったりすることは非常に大きな問題です。

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役員のなり手がいないと、マンションの管理者を外部に頼まざるを得なくなってしまいます。
しかしマンションの管理者を外部の専門家に頼むということは、安くない費用が必要になってきます。外部の専門家である我々マンション管理士が第三者管理者業務を委託されるということは、アドバイザー業務とは異なって法的責任を負うことになります
法律的な責任を負うことになると、厳粛に適正な管理を推進していかなければなりません。第三者管理者を委託されるマンション管理士においても、賠償責任保険に加入しなければならないなどの費用もかかるため、管理組合は少なからず費用負担をせざるを得なくなってしまいます。業務を委託するということは費用が必要になるのです。

マンション管理士である私が、外部の専門家として監事(監査人)を委託される場合もあります。今後、管理組合役員のなり手がいないとなるとマンション管理士が外部監事になるケースも増えてくると考えられます。

また、建物の構造上、高齢化に対処することのできないマンションが存在することも問題です。
例えば、マンションのエントランスが二階で、階段をのぼらざるを得ない造りなどが、わかりやすい顕著な例です。そういう場合は、波型手すりと呼ばれる、最近よく駅や病院で設置されているくねくねとした手すりを増設する場合があります。
しかし、完全なバリアフリー化、となるとほとんど立て直しになる場合もあるため、可能な範囲で行うことが多いのが現状です。

程度問題の話でいうと、エレベーターの下に1段、段差がある程度であれば、スロープを設置するなど、対策をとれる範囲で行っています。

バリアフリー化されていないマンションとバリアフリー法に関して

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今、バリアフリー化をするマンションが増えています。スロープをつくり、車いすが通りやすいようにしたり、手すりをつけたりする改修工事を実施するマンションが多数あります。当然費用はかかるものの、明日は我が身かもしれないわけですから、管理組合のみなさまは前向きに工事を検討してくださいます。もちろん、私たちマンション管理士が提案をしないと、気がつかないことも多いため、バリアフリー化のお話をこちらからさせていただくことが多々あります

また、バリアフリーはバリアフリー法という法律ができているため、古いマンションもできる限り対応していく方向にあり、これは良い傾向かと思います。
バリアフリー法は平成18年に制定されたもので、その後建てられた新しいマンションに関しては、ほとんどすべてがバリアフリーに対応したマンションの構造になっています

以前から、バリアフリーに関する法律(ハートビル法・交通バリアフリー法)はありました。しかしこの改定では以前あった法律を統合してレベル設定もされ、より詳細に制定されています。例えば、スロープでも、スロープの幅や角度まで細かく制定され、車いすがきちんと通れるように、実用的に規定されているのです。

最近よく行われているバリアフリー化対策のひとつに、エントランスの扉を、自動ドアに変えるというものがあります。手動で、扉を引くスタイルですと、車いすの方は扉を引くことが出来ず、中に入れません。手動扉から自動ドアへの改修工事は何百万もかかるとは言え、改修しているところが多いです。居住者のためになることは、前向きに総会で決議し、修繕積立金の中から特別な管理に要する費用として支出している管理組合も多くあります。

エリアによるバリアフリー化の違い

地域によって、高齢化が進むスピードは異なります。しかしだからと言って、マンションの問題も同様に、地域によって高齢化対応の事情が異なるというわけではありません。

郊外は高齢化が進みやすく、バリアフリー対策が深刻化するケースが多いと思われがちです。しかし、実際は都心のマンションに比べ郊外のマンションはゆったりとした造りのマンションが多く、土地をふんだんに使えるため、駐車場を平地につくるなど、都心のマンションのようにギリギリの土地を使ったマンションは少ないのです。そのため、高齢化対応のバリアフリー化も容易に進めることができる条件を得られています。

今後の問題点と展望、理想の高齢化対策とは

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前述したように、マンション管理組合のなり手がいない点が大きな問題点です。
国交省が真剣に専門家活用の検討委員会を作り、対応策を考えています。

老後は外出さえできなくなることも考えられるため、現在住んでいるマンションを手放し、高齢化対応マンションへの買い替えを考える人も少なくありません。

ここ2,3年、マンション管理業界でよく言われることに、「2つの老い」と言うものがあります。
1つは、マンションの老いです。マンションそのものが、古くなることを指します。
もう1つは、マンション住人の老いです。居住者の方々の年齢があがってきてしまっている、ということです。

これに対応するために、我々マンション管理士の存在意義があります。マンション管理士のアドバイスが、求められるようになるわけです。
今後、高齢化がますます進み、マンションに関する2つの老いがより問題視されるようになれば、マンション管理士の需要が増大することも考えられるため、マンション管理士の育成にも力を入れております。

今、日本も高齢化社会になり、専門家にマンションの管理を任せないといけないのではないか、という話し合いになってきました。そこで、先ほどお伝えしたように、国交省でも、この問題は真剣に考えるようになってきています。

今後の理想や展望、高齢化社会と向き合うマンションに関して考えてみると、つくづく感じるのは、やはり何かあった時、高齢化に対応しているマンションは、住居者にとってもそのご家族にとっても、大変心強いはずです。警備会社と提携していての24時間対応は当たり前となっていますが、緊急コールなども設置されており、そういった意味では安心・安全がキーワードとなり、住みやすいマンションに進化していっていると言えます。

マンションではその他のサービスも充実しているところが多いです。例えば、居住者がご高齢の場合は、蛍光灯の交換ができない、という場合があります。そのような時に、蛍光灯の交換をしてくれる有り難いサービスなどがあります。このサービスは普及しており、管理会社がどんどん展開させています。同様に、水が漏れてしまった時の対応など、ご高齢の方が対応しきれないものに対しての専有部(お部屋内)サービスも普及してきています。

今後、高齢化に対しては医療機関との提携がきちんとなされているマンションが増えていくことを期待します。しかしまだ充実しきっていないのが、安否確認のサービスです。
管理業界では安否確認をどのようにしていくか、ということを検討しています。本来であれば、どこにお住まいの方が高齢者で、緊急連絡先はどこか、把握しておきたいところです。しかし現状は、個人情報の保護など、情報が開示されないことが多くあります。
例えば、朝の朝刊を一階の集合ポストに入れられると、取りに行くのに一苦労です。それを、ご高齢の方には、部屋まで朝刊を届け、一声かけてあげるだけでも、安否確認を含め、メリットが大きいのです。そういうものはあってしかるべきもので、今後、マンションは戸建てと異なり、サービスをもっと充実させることができるため、促進していってほしいと思います。

最近では宅配サービスが充実して、コンビニでも宅配をしてくれるようになっています。

しかし、問題は、ご高齢の方は年金生活だということです。年金生活ですと、消費税が上がる、物価が上がる、といったことに対応できなくなってしまいます。
サービスがどんどん充実していくのはとても良いことですが、どうしてもその分、出費がかさむようになってきてしまいます。
その費用負担を国の福祉制度として、充実させていくことが、本来あるべきかたちではないでしょうか。
今後高齢化に目を向け、補助制度を充実していただければ高齢化を生きる人々にとって、理想的な形になると思います。

管理規約・使用細則の変更はASETUS(アセタス)にご相談ください

管理規約や使用細則を変更する場合は、その背景にマンション特有の課題や問題があるため、単に変更案を作成して総会に提案するだけで簡単に承認に至るものではなく、また、承認されたとしても、変更後のルールを円滑に機能させるのは難しいものです。
アセタスでは、背景にある課題や問題を把握・分析し、居住者・管理組合のことを考えた「管理規約・使用細則の変更案の作成」や「組合員に対する説明と総会決議までのサポート」などを通じて、マンション生活のクオリティの向上のお手伝いを行っております。是非ご相談ください。

当コラムは執筆時の法律・判例に基づいております、参考にいただく際は最新の法律・判例を確認頂きますよう、お願い致します。また、平易な表現により、一部の例外・解釈等を簡略化している場合がございます。正確には個々のマンションの管理規約等、区分所有法等をご参照ください。
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