機械式駐車場の空き問題について、マンション管理組合が対策すること | アセタス

機械式駐車場の空き問題について、マンション管理組合が対策すること

川原一守
川原一守

マンション敷地内の機械式駐車場の空きは、年々深刻化しています。外部に貸し出しをすることに目が向きがちですが、対策の際に検討するポイントをお伝えします。

機械式駐車場の運営は難しい

広大な敷地を確保しにくい大都市園に多いマンションの機械式駐車場は、部品交換や点検費、更新費用等のコストが高いため、年数が経過するほど、管理組合の財政を圧迫してきます。また、さまざまな要因から駐車場の空きも目立つようになりました。このようなことから、目の前の対策に翻弄している管理組合が多いのが現状です。本章では、マンション管理士による対策のポイントをお伝えします。
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機械式駐車場とは

機械式立体駐車場が初めて日本に誕生したのは、1962年(昭和37年)と言われています。当時は高度成長期で、大都市圏で大型の商業施設等を中心に導入が進み、多くの立体駐車場が設置されるようになりました。
人口も急激に増え続け1970年は人口1億人を突破し、1980年頃には都市部で大戸数のマンション導入が進み、狭い土地を最大限に活用できる駐車場として、敷地内に機械式駐車場設置が急速に普及しました。

機械式駐車場の種類

10~20年前に設置された大戸数のマンションに多いタイプ
・単純昇降方式(上下にパレットを移動させて入出庫させる機械二段式)
・パズル式(パレットがパズルのように可動)

高層マンションに多いタイプ
・エレベーター方式(パレットが自動車昇降装置に組み合わせて立体的に駐車)
・ タワー式(パレットがエレベーターを使って車を目的の階まで移動し、駐車室に立体的に収容)

機械式駐車場は維持と更新するコストが高い

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機械式駐車場の消耗部品は、5~10年ぐらいの周期で交換が必要なものが多いです。また、外部に屋根が無い形で設置している場合は、風雨や紫外線によって部品の劣化が進みやすく、錆も発生しやすくなる等環境によって大きく左右されます。部品や修理や交換の作業はメーカーや点検業者により競争原理がほとんど働かないのが一般的であるため、コストが高く、設備を更新(入れ替える)する場合は1台のパレットに約100万近くかかると言われています。
そのため、区分所有者が負担する管理費は通常の駐車場よりも高くなっています。

駐車場の空き対策で検討すべきこと

駐車場の空きが発生することによって、駐車場使用料収入が減少し、管理費の収支に影響が及ぶことが考えられます。つまり、最悪のケースでは管理費の値上げという形で区分所有者に跳ね返ってくることも考えられます。
機械式ではない平面の駐車場でも空きが発生すると、使用料収入が減少して管理費の収支を悪化させます。それよりもコストのかかる機械式駐車場で空きを作ってしまうことは、空きの有無に関らず発生する点検費用等の維持費や部品交換費用等、区分所有者への負担がより増えることは容易に想像できます。このように、管理費の値上げを防ぐためにも、空きを長期間作ってしまうことはなるべく避けるよう管理組合でも対策を考える必要があります。

それでは、管理組合としてどのような対策をしていけばよいのでしょう。空きを埋めて収入を増加させるために外部に貸し出すこと等にも目が向きがちですが、まず最初に以下の内容を管理組合で整理をしましょう。

  • 現状の収支状況と使用料収入減少に伴う中長期的な管理費、修繕積立金の収支の見通し
  • 機械式駐車場の保守点検費用、修繕費用、更新費用等のランニングコスト、長期的な維持コストの見通し
  • 駐車場の契約状況と今後の傾向
  • 居住者のニーズ(機械式駐車場の規格に入らないためやむなく近隣の駐車場を使用している等の情報)
  • 居住者の外部駐車場の利用状況
  • 近隣の外部の駐車場の相場

この内容を十分に把握した上で多角的に意見を伺って現状を見極めます。

具体的な事例

駐車場
駐車場の空きを防ぐことに可能であれば、最もよいのが、駐車場の空きを居住者に使用してもらって解消することです。

私が過去にかかわらせていただいた60戸ぐらいの管理組合では、外部に駐車場を借りている居住者が多いところでした。
管理組合が最初に行ったことは、外部に駐車場を借りている居住者と日頃のコミュニケーションを図り、なぜ、マンション内の駐車場ではなく外部の駐車場を借りているかの情報を収集しました。その結果、車の高さが機械式駐車場に入る区画ではないこと、また、マンションの敷地内の平置きの駐車場は近隣より若干高額であったことが分かりました。
アンケート等でも情報収集をした結果、平置きの使用料を若干値下げして近隣相場と同等くらいとし、機械式を大幅に値下げすることで現平置き使用者の移動を促し、最終的には空きが埋まったことにより、使用料が下がっても全体的には収入はこれまでよりも若干増加させることもできました。

もう一つは、物理的な解決に導いた例です。

そのマンションでも車を所有しつつも、外部の駐車場を利用している居住者が目立ちました。
近年は、30代、40代の子育て世代がワンボックスカーや、車高の高い車に乗る傾向が増え、高さ制限のある機械式駐車場は利用されなくなり、外部に駐車場を借りていたのでした。
しかし、家族連れのワンボックスカーはマンションの入口に車を止め、キャンプ道具や大きな荷物を小分けにして運んでいる姿が目立ち、車の通りが多い公道に停めていることもあって、慌ただしい様子が見られました。これが敷地内の駐車場ならば、公道に停めることも減るでしょう。
管理組合では、居住者のニーズを満たすため高さ制限がある機械式駐車場で3段式を2段式にすることにより高さ制限を緩和する工事を検討しました。

総会の決議では、改修工事後に駐車場代を値上げとなりますが、外部の駐車場利用者は敷地内の便利な駐車場を選ぶ可能性が高いと判断があり、改修工事と駐車場使用料の増額改定が実施されました。

敷地内駐車場の外部貸出しについて

駐車場の空き対策に、外部貸出しを検討する管理組合も多いかと思われます。

外部貸出しは、これまで、外部の第三者に1台でも駐車場を貸した場合、居住者の使用している駐車場の使用料も含めて駐車場の全ての所得が課税対象になるというのが通説でした。一般的には駐車場の大多数は居住者が使用しているため駐車場収入全体に課税されては収支が合うはずもなく、導入することに二の足を踏む管理組合がほとんどでした。
ただ、国税庁が平成24年2月に発表した見解により、一定の条件を満たしていれば、外部に貸した分の所得だけが課税対象になることとなり、昨今では、ニーズが高まってきました。

マンション管理組合が行う区分所有者の駐車場の使用が収益事業に当たらないことの理由として、

1 .マンション管理組合の組合員である区分所有者を対象とした共済的事業であること
2. 駐車料金は区分所有者がマンションの附属施設である駐車場の敷地を特別に利用することによる「管理費の割増金」と考えられること
3. 駐車場の使用料収入は、区分所有者に分配されることなく、管理組合において駐車場の管理に要する費用を含めた管理費又は修繕積立金の一部に充当されること

『マンション管理組合が区分所有者以外の者へのマンション駐車場の使用を認めた場合の収益事業の判定について』

外部貸出しは、国税庁の見解が出されたことにより貸出しがしやすくなりました。しかし、管理組合が駐車場を組合員以外の第三者に貸出すと、法人税等の税金を納める必要がある場合がありますので、その税務申告や会計処理等の事務的な面の負担も含めて駐車場の外部貸出しの検討にあたっては充分注意が必要になってきます。
また、セキュリティの面でも第三者が敷地内に出入りすることになりますので、十分にその運用や居住者の不安を少なくするようなルールも検討することが肝要です。いずれも、総会の決議(承認)を経て実施することになりますので組合員の合意形成が重要となり、多くの場合は管理規約の変更を伴うため、組員総数と議決権総数の4分の3の賛成がないと承認されないため、簡単に実現できるものではありません。

メリット・デメリットを吟味して、慎重に検討することが必要でしょう。

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当コラムは執筆時の法律・判例に基づいております、参考にいただく際は最新の法律・判例を確認頂きますよう、お願い致します。また、平易な表現により、一部の例外・解釈等を簡略化している場合がございます。正確には個々のマンションの管理規約等、区分所有法等をご参照ください。
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